一年に一回の麻酔下でのスケーリングがわんちゃんの寿命を延長します!
昨日は麻酔下でのワンちゃんのスケーリングを実施しました
普段から歯磨きガムなどでケアをされていましたが特に奥の歯(第四前臼歯)歯石の付着が重度に認められました。11歳の子の割には歯肉炎がひどくなくスケーリングだけで済みました。
処置後の写真です。この綺麗な状態を続ける為にオーラルケアが必要となります。
食べたら歯垢がつきます。歯垢が歯に付着するのは24時間以内であり、この歯垢を除去しないと唾液中のミネラルと反応して歯石ができ始めてしまいます。この期間は3日くらいといわれています。さらに2週間で歯肉炎が引き起こされます。そのまま放置すると、いずれ顎の骨が溶けてくる歯周炎へ進行します。歯周病を放置すると、口腔内の問題だけではなく、眼窩下膿瘍や口腔鼻腔瘻という外科的な介入が必要な状況、また、心臓、肺、肝臓、腎臓など様々な臓器の病気として関連することがわかっています。そして2歳以上のわんちゃんの8割は歯肉炎に罹患していると言われております。
興味深い報告がありました。犬の寿命のリスク因子については様々な研究がされていますが、Silvan R.Urfer氏らは、アメリカで約237万頭の犬の調査を行い、その結果、年に1度程度の歯石の除去(スケーリング)を行っている犬は、死亡リスクが約20%低下していることがわかりました。
きちんとしたスケーリングとはは、歯の裏側や歯周ポケットの歯石を除去することです。つまりスケーリングとは目に見える歯石を除去するだけでなく歯周ポケットに生息する歯周病菌をやっつけるのが真の目的となります。
無麻酔でペットショップ等で行っているお口のお手入れ(美容目的の無麻酔歯石処置など)は所属する日本小動物歯科研究会では禁止された行為であり、歯周病対策に歯周ポケットを綺麗にする為には全身麻酔が必要です。
麻酔下で行う処置も症状が軽いうちに行うほうがリスクも当然下がります。今回のわんちゃんは抜歯を伴う処置は必要ではありませんでしたが、歯周病が進行した子の場合では10数本抜歯するケースもあります。
ヒトも自分の歯で食事が取れることが長寿につながると言われていますが、ワンちゃんと健康で末長く一緒にいる為には日々のオーラルケアが必要です。
歯石のつき方は、遺伝的な側面が多いですが、普段のケアとしては、デンタルブラシで歯磨きをしてあげる事が最も推奨されています。最初は嫌がる場合も多いので、おやつなどを利用し、少しずつ時間をかけながら習慣づけてあげて下さい。
オーラルケアについてさまざまなご相談はいつでも病院でどうぞ!
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